まずは可視化(現状確認)
省エネの第一歩は、対策より"現状確認"。空調省エネは、いきなり商品選定や設定変更をするよりも、先に可視化(見える化・数値化)をすると遠回りしません。このページでは、最小の手間で「どこにムダがあるか」を掴む方法をまとめます。
このページでわかること

可視化でやることは3つだけ
空調省エネの可視化は、難しい計測から始める必要はありません。最初はこれで十分です。

まずはチェックリスト(最短10分)
A. 電力(kWh/kW)
- 電気代が上がるのは「いつ」か(曜日/時間帯)
- 営業時間外でも空調が回っていないか
- ピーク(デマンド)が出る時間はいつか
- できれば:空調の回路(系統)が分かれているか
B. 快適性(熱源=人・冷熱対象)
- 暑い/寒いと言われる場所はどこか(入口、窓際、レジ、奥、厨房周辺)
- 蒸し暑さ(湿度)が強い時間帯はあるか
- 設定温度を下げて対応していないか(=ムラが原因の可能性)
C. 外乱・損失の入口
- 自動ドア/搬入口の開閉が多い
- 西日・大きなガラスがある
- 換気が強い(CO2対策・厨房排気の影響)
- 食品売場(オープンケース等)で冷気漏れや気流干渉が起きていそう
それでは最低何をどれくらい測ればいいのでしょうか?
初の「当たり」を付けるなら、以下で十分です。
1. 電力:kWh(できればkWも)
kWh(電力量)
電気代の正体。比較の基本
kW(瞬間電力)
ピーク対策・運転状態の把握に有効

2. 温湿度:2〜3点
苦情点(暑い/寒い/蒸す)+代表点(中央など)


3. サーモ:入口・窓・天井・売場・設備周辺

サーモカメラの使い方(見るべき場所)
サーモは「建物・売場」だけでなく、空調機器の"働き方"も見られます。
(※安全のため、室外機内部の観察は無理をせず、必要なら専門業者と連携してください)
① 建物・売場(外乱/損失の入口
- 入口・自動ドア:外気侵入、すきま
- 窓・ガラス:日射
- 天井・吹き抜け:暖気だまり
- 厨房・機械室:内部発熱
- 食品売場:冷気漏れ、乱流、空調との干渉
② 室内機(吹き出し/吸い込み)
狙い: 風量低下、短絡、未到達(デッドスペース)の当たりを付け
- 吸い込み側の温度が偏っていないか(局所的な熱だまり/短絡の疑い)
- 吹き出し温度が均一か(熱交換不良・汚れ・風量低下の兆候)
- 吹き出しが当たりすぎる場所/届いていない場所(ムラ・不快の原因)
③ 室外機(吸い込み/吹き出し)
狙い: 放熱不良、再循環(排気が吸い込みに戻る)、設置環境の悪さ
- 吸い込み温度が高い(熱だまり・壁近接・設置環境)
- 吹き出しが自分の吸い込みへ戻っていないか(再循環)
- 複数台で1台だけ傾向が違わないか(個体差・劣化の兆候)
④ 室外機内(圧縮機・配管の温度)
狙い: 異常の"当たり"をつけ、優先順位を決める
- 圧縮機周辺が局所的に高温(運転条件が厳しい/放熱不良などの疑い)
- 配管温度の偏りが大きい(通常と違う兆候:要専門点検)
- 同型機で差が大きい(1台だけ劣化の可能性)

スーパー特有の可視化ポイント
(冷気漏れ・干渉・デッドスペース)
スーパーマーケットでは、kWh(電力量)は 必要冷熱量(負荷) ÷ COP(効率) の結果として決まります。
ただし現場では 負荷(損失負荷) が大きく動くため、COPの変化と相殺が起きます。

見るべき"損失負荷"の代表


AI分析でできること(サーモ×AI)
サーモ画像や現場写真をAIで分析すると、次が楽になります。
・ホット/コールドスポットの抽出
・外乱の入口候補の優先順位化
・Before/After差分の可視化
・対策仮説(損失要因)を整理
・条件が揃えば、温度差×影響範囲から損失量の目安を簡易試算し、優先順位の根拠にする
データの取り方(失敗しないコツ)
- 条件を揃える: 同じ曜日・同じ時間帯・似た外気条件で比較
- 代表点だけに頼らない: 苦情点+代表点の2〜3点
- "運用変更"を記録する: 設定温度、風量、ON/OFF、換気強弱
- kWよりkWh重視: 省エネ評価はkWh(電気代)で判断する








