空調省エネ 事例ページ
空調省エネは「効果が上がった」だけでは終わりません。
本当に大事なのは、kWhや電力量を「制御機能」として捉え、現場が見える「数値」として扱っていくことです。
ここでは、実際の「事例から分かった」「なぜ失敗するのか」「なぜ改善できたのか」について見ていきます。
Common
共通の進め方
可視化
消費量把握
損失要因の確定
外乱・運用・機器
改善提案
対策実施
【=kWh削減が確認できる省エネ】に絞って、最短ルートで改善する
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Guide
このページの見方(先に結論)
同じ「省エネ商材」を入れても、現場の損失構造が違えば結果は変わります。
だから空調省エネ.comでは、次の順番を重視します。
01
可視化
サーモ・電力ログ・温湿度・運転履歴
02
損失要因の確定
外気侵入/冷気漏れ/熱橋/ショートサーキット/ムダ運転…など
03
改善設計
優先順位と投資配分を決める
04
検証
改善前後の比較で"kWhで語れる"状態にする
事例1
スーパーマーケット
「COPが上がった」でもkWhが目立たない」問題を解剖
概要
状況(Scene)冷媒改善(R-Oneo)により、機器単体のCOPは3〜20%上昇が観測されました。
一方で、店舗全体の電力量削減が限定的に見える——このギャップを「運用変更なし」の前提で科学的に分析しています。
🌡 FLIR — 通路床面
FLIRサーモカメラ — スーパー通路の床面冷気漏れ診断
床面 12.4〜20.0°C
冷気漏れ・コールドプール確認
🌡 FLIR — 室外機天板
FLIRサーモカメラ — 室外機・熱だまり診断
室外機天板 高温分布
熱だまり・放熱不良の確認
可視化でわかったこと
COP改善後
COMP,COP改善後も
サーモカメラによる熱ロス診断
サーモオフ比率が低いまま
年間電力構成の分析
実際の電気代は変わらず
損失要因の確定(結論)
特定された損失要因
COP改善分(W側の改善)が、負荷Q(熱負荷)に吸収されている構造です。 「Wが改善しても、Qが大きいままだとCOP改善分は吸収される」ことを、式(COP=Q/W)で整理しています。→ 外気対策が最優先
サーモ診断で確認された代表例:
出入り口の外気侵入:床面8〜12°cなど、侵入負荷が恒常化
冷凍ショーケースの冷気漏れ・床冷気だまり:床温度が周囲より6〜7°c 低い/通路側に流出/床面に滞留(コールドプール)、壁・床取り合いの熱橋(サーマルブリッジ):低音たいが常時発生
改善設計(次の一手)
この事例の示唆は明快で、"負荷Q側を下げる対策"が入って初めて、COP改善がkWh削減として現れるということです。
優先施策例:
1外気流入量の可視化(ドア開閉センサー・CO2計測)
2エアカーテン・自動ドア調整による外気遮断
3改善後のkWh再計測・COP再評価
事例2
商業施設(館内VBV)
「排熱+省エネ支援金」投資回収を3パターンで管理
概要(現状)
ダイキン(室外機10台・室内機37台・2004年導入、約20年経過)
年間コスト:総電気代約3,000万円、内空調分約1,200万円 (40%)
ダイキン VRV 室外機(約20年経過)
ダイキン VRV 室外機 10台(2004年導入・約20年経過)
稼動条件の確定(導入設定)
・効率低下・メンテ費増・突発停止リスク拡大。
・→ 「更新一択」ではなく、データ基盤を作りながら延命で回収するルートも成立する、という整理。
改善設計(3つの投資シナリオ)
設備更新(根本解決)
投資:7,000万円〜1億円
軽減率:30〜40%
回収:15〜25年
(補助金で7〜13年)
既設延命+省エネ支援機器(短期回収)
導入例:エコパルサーe3、金属修正剤、Sensibo Air、EmporiaVue3
投資:680〜740万円
軽減率:30〜40%
回収:2〜3年
Emporia Vue3+Sensibo
(最小投資の"つなぎ施策")
投資:400万
軽減率:20%
回収:約1.7年
実務的に強い「段階導入」
第1段階
監視・制御基盤(まずパターン3)
第2段階
延命+効率改善(パターン2へ)
第3段階
段階的更新(必要ならパターン1)
現地・計測・データ → 改善提案 → 効果検証のサイクルで実施。
事例3
鉄道・ビル
「3分割」を制御方式を切り替え、ROIを守る設計
目標(最初に結論)
現地・計測・データ → 改善 → 制御 →運用定着のプロセスで、既存設備のまま空調電力を20〜45%削減し、投資回収は原則3年以内。
鉄道駅ビル — 省エネ対象施設
鉄道・駅ビル(省エネ対象施設)
可視化(診断の中身)
改善前後で AI×サーモ を実施し、温度分布・気流推定・機器状態推定などから優先順位を出す設計。
損失要因の確定 → 改善設計(35台基準)
室内機台数で制御の打ち手を分けます: 35台未満 Sensibo方式(台数比例型) 35台以上 E&E Air方式(拠点固定型)+必要箇所Sensibo
Sensibo
冷媒効率改善
EcoPulser e²
運転制御最適化
Sensibo with HEEM / E&E Air
可視化・効果検証
Emporia vue3 with HEEM
室内環境診断
AI×サーモ
実地に当たる「応用業務」
この「3分割」で生まれる効果・改善(GS比較)
効果目安とPoC位置づけ
省エネ率:20〜45%(PoC保証ライン15%)
回収期間:原則3年以内/補助金利用時1.0〜1.5年
事例4
工場
「構造・設備・運用」に分けて、改善策を迷子にしない
現状把握(なぜ負荷が大きかったのか)
広い空間・広い開口部、季節の熱分布や気流の影響で、空調負荷が大きくなる傾向——という前提を置いて、 改善策を検討しています。
工場 空調ゾーニング 3Dモデル
工場 空調ゾーニング・気流シミュレーション(3Dモデル)
損失要因の確定(整理の仕方)
空調効率改善の代表的方法を 1)構造面 2)設備面 3)運用面の3つに分けると整理しやすい、というフレーム。
改善設計(対策×効果×費用の見える化)
例として、以下のように「効果」と「費用感」を並べています:
対策効果費用
エアーフェンス5〜10%25万円/台
ゾーニング10〜20%4万円/台
フロアプッシュプル10〜20%40万円/か所
Sensibo with HEEM最大20〜30%程度(ムダ運転削減)
Emporia VUE3 with HEEM14万円/台
そして、①〜⑥(③断熱を除く)の措置で40%省エネが期待というまとめ方をしています。
事例5
食品厨房
冷凍・冷蔵設備+各用共用空調の総合省エネ工事
現状
・庫内温度:6〜8℃で安定(サーモ診断と紙記録で整合確認)
・外気侵入:出入口・扉下・梁・照明部に集中(主要ロス要因)
・設備健全性:概ね健全。ただし冷媒劣化が想定されるため、制御最適化・熱交換改善が有効
・事務所空調:現調時 24〜26℃で安定。一方で夏季・冬季は機械任せ運転となり、稼働ロスが出やすい
サーモカメラ Before
🌡 FLIR — Before(改善前)
サーモカメラ After
🌡 FLIR — After(改善後)
提案内容(統合パッケージ)
施策①:制御最適化(空調)SENSIBO with HEEM(10台)在室・外気条件を踏まえた運転最適化により、ムダ運転を削減。
施策②:見える化(回路別電力)EMPORIA VUE3 with HEEM(2台)回路別の電力データでロスを特定し、HEEMの効果検証(改善前後比較)を高精度化。
施策③:制御最適化(冷凍・冷蔵)エコパルサー(2台)圧縮機サイクルを最適化し、冷媒劣化への対策として循環効率を改善。
施策④:熱交換性能回復+外気侵入対策 金属修復材(熱交換器):6台分(伝熱面をオーバーホールし効率を底上げ)外気侵入対策:二重カーテン/扉下ブラシ/梁・照明周りの断熱強化(外気侵入を抑制)
内訳:
SENSIBO with HEEM:10台
EMPORIA VUE3 with HEEM:2台
エコパルサー本体:2台
取付工事費:150,000円
金属修復材(熱交換器):6台
断熱・気密改善:一式
効果算定(年・見込)
効果試算
年間削減:¥900万〜 → 予算削減額:162万円(削減率18%)
回収年数:約1年9ヶ月
初期費用:290万円(投資額1億円)
年間削減:162万円
実施ステップ(提案)
・現場調査(1日)
・主要設備の実装(1〜2日):エコパルサー2台+金属修復材
・制御システム配備(1日):SENSIBO with HEEM + EMPORIA VUE3 with HEEM
・外気対策施工(半日〜1日)
・効果検証(1〜3ヶ月):改善前後比較・運用最適化
Pattern
事例から見える「共通パターン」
可視化なしでは改善できない
kWhデータなしに「効果あり」と判断すると、実際の削減量とズレが生じる。まず計測から始めることが重要。
内部発熱・外乱が見落とされる
人・機器・日射・外気など複合要因を整理しないと、対策が的外れになる。損失構造の確定が先決。
規模で方式を変える(例:35台基準)
→ 同じやり方を全拠点に当てない。ROIを壊さないための分岐が必要。